保活②-保活は情報戦ー

「保活」としてできることは意外と少ない

主として国の基準を満たした保育園(認可園)に子どもを預けるために必要な一連の活動のことを、「保活」と言います。
「保育園落ちた日本死ね」が「2016ユーキャン新語・流行語大賞」になったことで、待機児童問題の深刻さも、保活の辛さも広く知れ渡ることになりました。

 

私自身も保活をしました。

が、正直なところ、妊娠発覚後だと、できることはそれほどありません

せいぜい、下記3点くらいです。

 

a.自分の置かれた状況を正確に把握する
b.入園のための基本戦略を立てて実行する
c.認可外を確保する(できれば認可園の結果発表前に)

 

とはいえ、少ないながらも保活をして良かったとは思っています。

ここでは、私が何を考え、いつ・どのような活動をしたかを紹介します。


保活は妊娠中から

0歳4月入園を目指していたため、妊娠中から保活を始めました。
情報収集は妊娠9週から、保育所見学も16週から開始。
「保育園に入れなかったらどうしよう」という痛切な不安を押さえるため、「敵を知り、己を知れば」と、情報収集に努めました。

 

a.自分の置かれた状況を正確に把握する

①保育利用案内の入手

まずは、役所で保育利用案内を入手しました。

保育利用案内には、下記の情報が記載されています。

  • 保育園一覧と基本情報(住所、対象年齢、保育時間など)
  • 利用調整方法
  • 利用調整に使う指数(ポイント)の計算方法(保育を必要とする理由、勤務時間、シングルや兄姉同園などの家庭状況etc...)

Webサイトからも入手できる自治体も多いですが、後述の通り、利用調整方法・指数の計算方法が複雑なので、紙媒体で読むのがおすすめです。 

②保育利用案内の熟読・不明点解消

利用調整方法を熟読し、自分の指数がどのくらいになるかを計算します。
指数計算および優先順位付けは非常に複雑なので、不明点や定義があいまいな部分をチェックして、窓口や電話で片っ端から確認しました。
例えば、

  • 勤務時間とは何か(就業規則?勤務実績?)
  • 時短を取った場合、指数は下がるのか
  • 休憩時間は勤務時間に含まれるのか
  • 待機期間は選考において考慮されるのか

などです。

 

回答を聞いても腑に落ちない場合、自分の理解を確認するため、具体例を挙げて質問しました。

「フルタイム共働き第一子の人、パートタイムで第一子が通園中の人、パートタイムでシングルの人がいて、指数は同じ○点の場合、優先順位はこの順になりますよね?」といった具合です。
最初から分かりやすく記載・説明してくれれば…と思いつつも、自分と子どもの生活がかかっているので、納得がいくまで確認しました。

仕事と同じレベルでのヒアリングです。

 

③通えそうな園のピックアップ

保育利用案内掲載の保育園マップを使って、候補園をピックアップしました。
このとき、月齢制限により0歳4月に入園できない園は、×印をつけていきます。
さらに、ピックアップ漏れを防ぐために、保育課の窓口の人にマップを見せ、見落としがないかを確認しました。
担当してくれた人にもよりますが、「この園には、この地区からも申し込んでいる」など、有意義な情報を教えてくれる人もいました。

 

④希望園の精査

候補園に、想定する交通手段・ルートで行き、「本当に通えるか」を確認しました。

また、せっかくなので、保育園見学もすることにしました。
保育方針でえり好みできる状況ではありませんが、登園時間が同程度の場合の優先順位を決めるためです。
私自身は保育園に通ったことがないため、保育園での子どもたちの生活を知ることも目的の一つでした。 

 

園見学は、子どもが多い日時に行かないと意味がないので、平日昼間、妊婦健診の日を一日休みにして見学しました。
10園以上、妊娠18週ごろから36週くらいまでかかりました。

 

認可園の場合、保育園見学をしたところで利用調整で有利になることはありません。

が、「本当に通えるか」を確認しておいて、本当に良かったと思います。
実際に登園してみることで、

  • 細い坂道が続き、自転車で通りにくい
  • 直線距離は近いが、駅の反対側に渡る通路がない
  • 降車駅のホームを反対側まで歩かないと、最寄り出口に着かない

など、地図からは読み取れない情報がわかり、候補園を精査することができました。

 

⑤入園難易度の調査

希望園の精査と並行して、候補園の入園難易度を調べました。
各園の前年度の最低入園指数(どの条件の人まで入園できたのか)を役所に問い合わせたのです。


0歳4月の他、1歳4月と3歳4月も確認しました。

3歳4月を確認したのは、2歳児までの保育園に決まった場合、3歳以降の受け入れ先があるかを調べるためです。

 

開示方針は自治体によって異なりますが、私が住んでいる自治体は、窓口または電話で問い合わせれば教えてくれました(同じような問い合わせが多かったからか、翌年からはWeb公開になりましたが)。

 

一覧表を作ってみると、自宅付近の園(月齢制限のため、0歳4月では申し込めない)の1歳4月入園は、やはり非常に厳しいことがわかりました。
園によっては、フルタイム・兄姉登園ありが最低ラインでした。
やはり、「家から遠いが何とか通える園に、0歳4月で入れる」という基本戦略を採るしかないのです。

 

⑥入園申込

10月に翌年度の保育利用案内が配布されたら、いよいよ入園申込をします。
書類記載方法がややこしいので、勤務先のバックオフィスの方が間違えないように、「ここは~を記載してください」と付箋で注意書きをして依頼しました

(私の場合、ここまでやってから出産に臨むことができましたが、10月出産予定の方は、パートナーなど他の人にフォローをお願いしておいた方が良いと思います)。

 

また、利用年度の保育利用案内を入手したら、前年度からの変更点を確認しましょう。
私の場合、利用年度から、0歳児の月齢別の最大保育時間が変わったことを見落としており、保育園内定後に焦りました。


b.入園のための基本戦略を立てて実行する

基本戦略で一番重要なのは、「いつ入園させるか」「認可園に入れるために、認可外に預けた実績を作る必要があるか(受託ポイントの獲得が必要か)」だと思います。

別の記事に書いた通り、私の場合、共働きが必須だったので、入園時期は0歳4月としました。
また、認可外に預けてもほとんど加点がなく、そもそも認可外も4月でないと入園できないため、認可外に預けての復帰実績作りはしませんでした。

 

 

c.認可外を確保する(できれば認可園の結果発表前に)

認可外に預けてもほとんど加点がないため、私の場合はあくまで「0歳4月に認可園に入園できなかった場合の押さえ」として認可外保育所を探しました。
認可園の情報収集(実際に行ってみる、見学する)と並行で、認可外の見学と申込方法を確認していきます。


自治体、施設によっては、1年先の予約を受け付けている園もあると聞きますが、認可園が充実しているからか、私が住む自治体ではありませんでした。
翌年度の利用について初夏時点で電話したら、「そんな先のこと」と失笑した園もあったほどです。

 

結局、私が実際に見学したのは4園ですが、申込時期や選考方法は園によってまちまちでした。

  • 翌年度の申し込みは10月から。先着順。
  • 翌年度の申し込み受付中。単願は先着順。認可園と併願する場合、利用調整結果発表時に空き枠があれば抽選。
  • 翌年度の申し込みは10月から。本部が基準非公開で選考。結果発表は認可園の利用調整結果発表と同日。

この中で、私は認証保育所(国の基準は満たさないが、東京都独自の基準を満たした保育所)1園と、完全な無認可園1園に申し込みました。
無認可園には予約金3万円を払っています。
どこかしらの認可園には入れるのでは、という期待はあったものの、確実ではなかったため、安心のために枠を確保しました。
電車で通うことになり、また、繁華街の雑居ビルということで抵抗はありましたが、「保育園が決まらず退職」という不安から逃れられるなら安いと思ったのです。


保活の結果は?

2月の第二週、認可園の利用調整結果の発表がありました。
結果、私立の認可園(第四希望)に内定しました。
自宅から単身で徒歩25分、バスを利用して15分と遠いものの、バス停から近いのがせめてもの救いでした。
驚いたことに、認証1園も選考が通りましたが、予約金を支払った無認可園と共に早々に辞退しました。

 

妊娠するまで地域の保育園事情の深いところを知らず、窮地に陥ったものの、得意の情報収集能力を活かすことで、何とか挽回できたのだと思っています。


保活は終われど、窮地は続く

こうして、一番の懸念事項だった保育園は確保できました。


けれども、保育園が決まり、復帰後の具体的な生活を検討し始めると、まだまだ問題は山積みです。
保育園が遠いため、通勤時間に登園時間を加算すると、勤務時間が大幅に減ります。
そうなると、給与の手取りが想定以上に減ります。
また、裁量労働制だったころの収入ベースで算出された保育料は高額です。
さらに、バスを使っての登園となるため、バス定期が月1万円弱かかります。
「育児をしながらコンサルタントを続けられるのか」以前の問題として、勤務時間にお金、そして体力面での問題が押し寄せます。


保活は終わっても、窮地はまだまだ続くのです。