保活③-園が遠いなら引っ越してしまえー

保育園は決まったけれど

0歳4月から認可園を利用できるようになったものの、月齢制限で自宅近くの園に入園できなかったため、徒歩25分、バス利用で15分の園に通うことになりました。

きつい坂道を登って駅の反対側に渡り、保育園に子どもを預け、また駅に戻る。
保育園見学時に聞いたところでは、同じ地区から通っていた家庭は、遠くて大変なので途中で転園していったとのこと。
自分自身も「通えなくはないが、毎日となると大変」という感触を持っていましたが、少ない選択肢の中ではまだ現実的な方だったので希望園として残しました。

けれども、入園当時0歳5ヶ月の子どもを抱えての登園は、やはり想像以上に過酷だったのです。

 

月齢が低すぎて電動自転車が使えない

「多少距離があっても、坂道がきつくても、電動自転車ならば何とかなる」
電動自転車に活路を見出していましたが、実際には使えませんでした。

 

まず、たいていの自転車のチャイルドシートは、1歳以上でないと利用できません。
自己責任で乗せるにも、そもそも腰据わり前の赤ちゃんは、座ることができません。
となると、赤ちゃんを抱っこまたはおんぶで乗ることになりますが(ただし、抱っこは都条例違反です)、こちらも抱っこ紐によっては難しいのです。
私はベビービョルンOneを利用していましたが、抱っこすると赤ちゃんのお尻が自分の腰、足が太腿に位置します。
この状態では自転車に乗れません。

仕方なく、自宅近く(といっても徒歩5分)の停留所からバスに乗って登園することになりました。

 

低月齢の保育時間制限から、送り迎えを共に担当

送りと迎えの担当を分けるのが一般的な負荷軽減策ですが、どちらも私が担当することになりました。
低月齢のうちは、保育時間に制限があるからです。
0歳8ヶ月までは、8:30~18:15まで。
そして、18:00以降の延長保育は、満1歳の誕生日以降。
夫は職場が遠い上に始業が早いため、送りを頼む場合、7:30には園を出なければなりません。
定時退社したとしても、延長保育を使わない限り、お迎えにも間に合いません。
少なくとも0歳8ヶ月までは、送迎の負荷と、それによる勤務時間の制約を私が受け入れざるを得ませんでした。

 

0歳児は預けるまでに時間がかかる

見学を通して、認可園は預ける際に保護者が行うタスクが多く、預けるまでに10分は必要だとは理解していました。
が、実際にやってみると、「保育室に入って出るまでが10分」であって、その前後の時間-門のオートロックを解除してもらい、保育室まで移動し、入室前に(子どもを抱っこしたまま、園児用の低い流しで)手を洗い…-を含めると、10分ではとても終わりません。
毎日使うもの(汚れ物袋、ベビーラック用タオル、ガーゼ、授乳用タオル)のセット、オムツ交換、検温。
子どもが通うことになった園は、預かり時の健康チェックも厳しく、服を脱がせての視診(発疹がないかを確認)も必要でした。
0歳5ヶ月ですと、子どもは腰が据わっていないため、抱っこしたまま作業します。準備効率も上がりません。
保育園の門をくぐってから出るまで、なんだかんだで15分近くかかりました。

 

自宅から園までが15分、園を出るまでに15分、園から駅まで戻るのに10分。
利便性を考慮して駅徒歩10分の物件を選んだのに、通勤時間が片道30分伸びてしまいました。

 

バス登園は時間が読めない

自宅から園までが15分、園を出るまでに15分、園から駅まで戻るのに10分。
これは、あくまで適度な待ち時間でバスに乗れた場合です。
実際には、自宅を出る前に子どもが吐き戻した、便が漏れたなどの理由で、バスに乗り遅れることもありました。
加えて、夕方は道路が混雑するため、バスも遅れがちです。
バッファを見越してスケジュールを組むと、1日5時間しか勤務時間を確保できませんでした。


慣らし保育3日目に限界を感じる

「保育園への送迎が不安。やっていける気がしない」
入園式前から何度も夫に訴えましたが、よく言えば我慢強く、悪く言えば現状に満足して変化を起こさない夫は、「大丈夫」「何とかなる」「育児の負担が寄ってしまう分、家事はする」「今の家は良い家だよ」と、あくまで現状のまま頑張ろうという考えでした。


しかし、入園後の慣らし保育3日目で、私は音を上げました。
3日間、一度も予定していたバスに乗ることができず、指定された登園時間に間に合わなかったこと。
「登園前の支度は、自分がする」と言っていた夫が、実際には朝の着替えと顔拭き、保湿をしなかったこと。
そして何より、3日目の登園時、検温結果が37.8℃で即時帰宅することになったこと。
帰りのバスの中で、子どもの発熱に気が気でない上、ものすごい疲労感に襲われたこと。

 

「大丈夫って言ってしまうのは、自分が育児の当事者じゃないからだ」

「送迎の時間で、ただでさえ少ない子どもとの時間が奪われるのはイヤだ」

「そもそも身体がもたない。仕事どころじゃない」

復帰後のスケジュールと送迎時のタスクを感情を載せて説明し、実際に夫を保育園に連れていくことで、ようやく夫に引っ越しを認めさせました。

 

地域密着の不動産屋に助けられる

引っ越すことを合意したとはいえ、既に4月上旬。
引っ越しシーズンは既に終わっており、ファミリー向けの物件は多くありませんでした。
毎日、賃貸物件サイトとグーグルマップ(物件名を入力して周辺の地図と保育園からの距離を確認)を見て物件を探しました。
引っ越し先候補の地区の物件は、名前を聞けば、間取りと家賃が分かるようになったほどです。


とはいえ、保育園からの距離と家賃、設備面の条件(ドラム式洗濯機が置けること)を満たす物件は、ほとんどありません。
ようやく見つけた候補は、家賃は現在と同額、ただし、駅からは10分遠くなり、また、風呂の追い炊き機能がない物件でした。

 

家賃は変わらずグレードは下がるが、ここに決めるしかないのか。
あきらめかけていた時、慣らし保育中にふらりと訪れた地域密着の不動産会社で、奇跡的に納得できる物件を見つけました。

3月末に急に異動が決まって引っ越したとのことで、クリーニングも住んでいない物件です。
駅から徒歩25分となりますが、駅と保育園、家がこの順に並ぶため、無駄な移動(駅の反対側まで行って戻る)がなくなります。
また、譲れない条件(ドラム式洗濯機が置ける、洗面所独立)を満たしており、かつ、家賃は月2万円下がります。
外観は年季が入っており、きわめて庶民的なアパートではありましたが、振り分けタイプなので音の心配も少なそうです。
さらに、下の階には小学生が住んでおり、内見した時には、学校帰りに友達を呼んできていました。子連れでも住めそうです。

 

グレードは大きく下がる。でも、家賃も下がる。
さらに、保育園は徒歩圏内になる。
100%満足のいく物件ではありませんでしたが、許容範囲ではあった上、家賃が下がることで、引っ越し費用も2年で回収できます。

 

引っ越し日は職場復帰の2週間後。ゴールデンウィークもあるため、最初の1週間を乗り切れば、登園の負荷が減らせることになりました。

 

引っ越しにより、保育園問題がひと段落

この引っ越しにより、妊娠した途端に直面した保育園問題は、一応決着しました。
保育園まで徒歩登園となり、時間が読めるようになったため、稼働時間と子どもとの時間を共に延ばすことができました。
身体的な負荷と、「駅の反対側まで行って戻る」という徒労感もなくなりました。

「賃貸に住んでいるのならば、保育園決定後に引っ越すのは悪くない戦略だ」と、声を大にして言えます。


ただし、引っ越しは物件探し、引っ越し業者選定、引っ越し準備、引っ越し、後片付け、家事導線や買い物・小児科等の再考など、負荷が小さくありません。
できることならば、保育園決定後、職場復帰までに済ませておくことを強くお勧めします。


実際、職場復帰後に引っ越しを強行した私は、その1週間後(職場復帰からは3週間後)、深夜にいきなり悪寒を感じるや、39℃の発熱が1週間続きました。

子どもの急な体調不良に備えて妊娠中から残しておいた有給を、自分の体調不良で使ってしまったのです。

 

最初から「今の家からは遠いが何とか通える園に入れる。そして、入園後速やかに引っ越す」という戦略を立て、夫と合意しておけばよかったなと、今となっては思います。