保活①-妊娠時点で月齢の壁に直面ー

妊娠前の保育園調べは甘々だった

妊娠というと、温かくて幸せなイメージがありませんか。
けれども、私の場合、妊娠発覚時点で既に厳しい状況に陥っており、溢れる不安と闘いながら窮地からの脱出を試みる日々でした。

 

私が陥った窮地とは、待機児童問題そのものです。

 

個人の志向性のみならず、家計としても共働きは必須です。

けれども、保育サービスを確保できず、待機児童になるかもしれません。

待機児童になった場合、最悪、仕事を失うかもしれません。

となると、家族三人暮らしていけるのだろうか。

そして、私のキャリアはどうなってしまうのだろうか。

 

多少は待機児童問題について調べていましたし、新居を決めるにあたって「待機児童が少なく保育園に入りやすいか」も考慮しました。
けれども、今から思えば、調べ方が甘すぎて「待機児童問題を考慮して選んだ」とはとても言えませんでした。
具体的には、何が問題だったのでしょうか。


月齢の壁が立ちはだかる

母子手帳を受け取ったその足で、役所の保育課に立ち寄りました。
出産予定日は晩秋でしたが、少しでも早く情報を得たかったのです。
その時点での最新の保育利用案内を入手し、窓口の方に待機児童数や入園難易度について尋ねました。

  • 待機児童は1歳児クラスが最もが多い。フルタイムでないと入園は厳しい
  • 前年度までは、0歳児ならば、パートタイムで入園できた園もあった
  • どの学年でも、年度途中での入園は非常に厳しい
  • 保育園に入りやすいという評判からファミリー層が流入し、待機児童が増加えている

など、答えられる範囲でいろいろ教えてくれました。

そして、この時初めて、居住する自治体の特徴ー0歳から入園する場合、月齢制限があることーを知ったのです。

 

女性が仕事に復帰できるのは、原則、産後8週間以降です。

このため、保育園で預かってくれるのも、最短で生後8週以降です。

とはいえ、これはあくまで労働基準法での話。実際は、園ごとに0歳児クラスに入園可能な月齢が決まっています。
そして、居住する自治体の公立認可保育園は、ほとんどが比較的高い月齢(生後6か月など)でないと入園できなかったのです。

 

当時の自宅近くにも、保育園はいくつかありました。
けれども、それらは全て公立園で月齢制限があり、私の子どもは0歳4月時点では申し込めません。
育児休業を延長して1歳4月入園を目指すにしても、1歳児の募集枠は2~3名。

下手したら在園児の弟妹で埋まってしまいます。

 

保活ガイドには、認可保育園に入る方法として、「最初は認可外保育園に預けて仕事に復帰し、ポイントを稼ぐ」という方法が紹介されています。

が、私の場合、こちらの方法も使えませんでした。
なぜなら、自治体の待機児童が比較的少ないのは認可園を増やしているからであり、逆に言うと、認可外の保育園がほとんどなかったのです。
また、この自治体の選考の特徴として、認可外に預けても、ほとんど加点されません。つまり、 何としてでも認可園に一発で入れるしかないのです。

 

限られた選択肢

当時も今も賃貸住宅に住んでいます。
保育園が厳しいのならば、引っ越せば良いのでは、と思う方もいるかもしれません。
実際、私の知人にも、会社の近くに引っ越した人もいます。

 

けれども、今度はコンサルタントという職業がネックになります。
帰社日を除いてお客様先に常駐、また、プロジェクト期間は平均3~4か月なので、職場近くの保育園に預けようにも、職場自体が変わるのです。

 

この時点で、採りうる戦略は、3つしかありません。

 

a.家から遠いが何とか通える園に、0歳4月で入れる
b.入園可能性は低いが、自宅近くの園に1歳4月で入れる
c.違う自治体(職場の近くではない)に引っ越す

 

妊娠発覚時点で、夫と私の家計構成比は、4:6でした。
産後は勤務時間が制限されるにしても、依然家計の半分を担うため、自分が仕事を辞めるわけにはいきません。
この時点で、リスクが高すぎてb.の戦略は採用できません。

 

また、c.を採用しようにも、さらに都心に引っ越すと、家賃が上がります。
収入が減ること、子ども関係の支出が膨らむことは見えているので、家賃という固定費を増やすのは危険です。
また、郊外に引っ越すとなると、家賃は下がりますが、通勤時間が伸びます。
加えて、「手ごろな家賃とそこそこの通勤時間」に惹かれてファミリー層が多く住むため、都内にアクセスしやすい郊外は、下手すれば都内より待機児童が多いのです。

 

消去法で「a.家から遠いが何とか通える園に、0歳4月から入れる」を選ぶほかありませんでした。

 

0歳4月入園を目指して

産休明け保育を実施している園ならば、晩秋生まれでも、0歳4月から入園できます。
けれども、条件に合う園は駅の反対側にしかありませんでした。
さらに、駅近の園は少なく、例年高倍率とのこと。

 

また、仮に希望する園に入れたとしても、子どもは、0歳4月時点で生後4ヵ月。
「生まれてくる子どもと、たったこれだけしか一緒にいられないのか?」

「保育園問題がなければ、もっと一緒にいたいのに」

「一馬力でやっていける家庭以外、子どもを持つなということか」

哀しい気持ちが次々と押し寄せてきます。

 

そもそも、この自治体に住んだのが誤りだった?
いや、保育園の種類や入園月齢まで調べて家を決めなかったのが問題なんだ。
そして、月齢問題を考慮して、産み月を調整しなかった自分が愚かだった。
でも、月齢が保育園の入園難易度を決めるポイントだなんて、思いもしなかった。

 

妊娠の喜びから一転、不安と悔恨に捉われ、鬱々とした気分になりました。
それでも、生まれてくる子どものために、何とか保育園を確保するしかありません。
こうして、私の保活が始まりました。

 

私の経験から学べること

「待機児童が少ない」という漠然とした情報だけで居住地を決めるのはやめましょう。

  • 特にネットの情報は、同じ自治体でも地区、入園年齢、年度によって大きく変わるので、鵜呑みにすると痛い目に遭います。
  • 保育利用案内を入手して、自治体ごとの特徴ー具体的には、「0歳児保育を実施しているか」「月齢制限はあるか」「どのように利用調整(選考)を行うのか」「認可園に落ちた場合の選択肢はあるのか」など―を調べましょう。
  • フリーランスの方の場合、自治体によっては、会社員よりも不利になることがあるので注意しましょう。

自治体によっては、保育園の入園可能月齢を考慮した産み月の調整(バースコントロール)も必要です。

悪い冗談にしか聞こえませんが、自治体や家庭の状況によっては、それくらいしないと保育園に入れないのです。